「演奏テクニック」カテゴリーアーカイブ

二胡のスタッカート その1


二胡で行うスタッカートについて。

今回はとりあえず、スタッカートの基礎部分を。


スタッカートとは

スタッカート(staccato)は、

音の長さを短く切って弾く

こと。
「音価の半分の長さ鳴らす」と説明されるそうですが、実際にどのくらいの長さにするのかは、目的によって変わります。

二胡で使われる数字譜では、
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このように、音符である数字の上に黒い下向きの三角形がある音をスタッカートで演奏します。

短く“聴こえる”こと

伸びる音を出すことができる弓奏楽器である二胡にとって、実は歯切れ良いスタッカートは難しい技術だったりします。
まずは細かいことは抜きにして、指示のある音を短く弾いてみるだけでいいと思います。

練習の中で注意して欲しいのは、指示のある音をいかに短く弾くか、ではなく、

前後も含めたフレーズの中で、スタッカートした音が短くなったように聴こえるように演奏すること

です。

スタッカートの指示のある音にだけに注目しないで、その音が「あ!短くなった!」と感じてもらえるように、その前後のフレーズを流麗に弾いて、落差を大きくすることも大切です。

この落差がしっかりあれば、スタッカート音自体がそれほどキレがなくても、十分変化の感じられる演奏になることは多いです。
逆に、十分に音を切りあげる技術を持っていても、前後との落差が少なければ効果が薄くなってしまいます。

なぜ?

演奏指示には目的があるはずです。

スタッカートなら、
・歯切れ良い演奏でリズムに変化を与えたい?
・それまでの流れを一瞬止めて緊張感を演出したい?
・フレーズの息継ぎ?
・それまでのフレーズの勢いのゴール?
・次から始まるフレーズへの助走?
他にも考えられると思います。

どういったつもりでここにスタッカートがあるのか、ということについて考えてみると、実際にどう演奏したらよいかについてのヒントが見つかるかもしれません。

やみくもに短く切ることだけに注目しないで、その前後のフレーズの中でスタッカートが効果的に聴こえることがなにより大切でっせ。

次は、具体的なスタッカートのテクニックについて。

演奏と呼吸 その2 歌といっしょ


歌っているような演奏」。
これは二胡に限らず、ほとんどの楽器で目指す方向のひとつです。

これの実現のために、意識してみたいことを挙げてみます。


歌ってみよう

演奏する曲が、歌詞のあるである場合。
歌ってみましょう。けっこうマジメに。

息を吸い、一息でフレーズを歌う。
息つぎをして、次のフレーズを歌う。

(息吸って)きーらーきーらーひーかーるー(息継ぎ)
おーそーらーのーほーしーよー(息継ぎ) …

この声で歌っているときの<吸う/吐く>の様子をよく観察します。
呼吸のタイミングだけでなく、身体をどんなふうにつかって吸っているか、吐いているか。

二胡で演奏するときにその身体の様子を意識してみるといいと思います。

声を出すのと同じように、二胡の音に息をのせていく。

二胡独奏曲など、歌でない器楽曲も、適当に歌ってみることで呼吸のリズムを身体で感じることができます。
また、とりあえず歌ってみることでフレーズの作りや抑揚を感じることができます。
オンチでもなんでもOK。とりあえず声に出して歌ってみる、というのは重要な練習です。

でも実際は

歌うような演奏のために、歌っているときの呼吸の様子を取り入れる。

これは正解ですが、実際の二胡など息を使わない楽器の演奏では、必ずしも歌っているのと同じ様に呼吸しているわけではないと思います。
声で歌うときとはまた違う呼吸のとりかたをしているからこそ、楽器の演奏が歌とはちがった魅力をもっているとも言えます。

二胡の演奏をしながら、自分の呼吸の様子をつぶさに観察することは難しいですしね。
僕も、自分がどんなふうに呼吸しながら二胡を弾いてるのかよくわかりません(笑)

声で歌っているときの自分の体の使い方を良く観察して、それを楽器で練習するときに意識してみる。リラックスして、自分の音楽の世界に入り込んでしまう。これを意識して練習していくと、おのずと自分らしい呼吸で演奏ができるようになるのではないでしょうか。

なによりまず、演奏中に息を止めないようにw

演奏と呼吸 その1 脱・無呼吸演奏症候群!


二胡の表情豊かな演奏は聴く人の心を打ちます。
そのときの感動が、「二胡を自分でも演奏したい!」という衝動に変わって、今、手元に楽器がある人も多いと思います。

夢をもって始めた二胡…
でも自分でやってみるとわかりますが、馴れないころの二胡の演奏って、音程がちゃんととれたとしても、ホント棒読みのような、豊かさとは無縁の平べったい音の羅列にしかならなかったりします。

どうやったら「歌っているような二胡」を奏でられるのか?
ポイントは胡弓、いやちがった【呼吸】です!


まずは現状を知る

頑張って集中して1曲演奏してみます。
…終わり。次の瞬間に、

「ぷはあーーー」

と大きく息を吐いていませんか?

これをする人は、演奏中に息を止めている可能性があります。
演奏と呼吸は深い関係があることは想像できると思います。

楽譜にかじりつき、「3はこの指で7はこの指、それから次はあああああ」と脳ミソフル回転の初心者のころは、楽譜の指示を行動に変換することに集中しすぎて、他のことが止まってしまうことはよくあることです。

単に演奏に慣れていくことで、呼吸に意識をめぐらせる余裕も生まれますが、ここまでくるには時間がかかります。

普段からでも呼吸を意識して練習することで、無呼吸状態で演奏することを早く脱することができるかもしれません。

ロングトーンを

練習の最初に、ロングトーンの練習をされる方は多いと思います。
僕は<ひと弓8拍>でやることが多いですが、その練習の時、こんな風に意識しています。

「せーの」で吸って、
「1拍目~7拍目」まで細く吐いて
最後の「8拍目」ですばやく大きく吸う
また「1拍目~7拍目」まで細く吐いて
「8拍目」で大きく吸う…を繰り返す

これをゆっくりのロングトーンの練習に合わせて行います。

ヨガやピラティスなんかの心得がある人は分かると思いますが、
7拍でしっかり最後まで吐ききり、8拍目でしっかり吸える、というところが大切です。
かなりゆっくりのスピードで行い、慣れてくれば腹式・胸式呼吸を意識していきます。

細く息を吐きながらロングトーンを弾くと、次第に肩の力が抜けて音色が落ち着いていくことを感じられると思います。いつもその音が出せれば、それだけでもグレードアップですよね!

まずは簡単なところから呼吸を意識してみましょう!

スラー&タイの二重括弧について


楽譜をみると、複数の音符(数字)を囲む括弧が二重にかかっている場合があります。
そんな楽譜の読み方!


例えば


こんな楽譜があったとき。

二重括弧のうち、
上の括弧:違う音程を滑らかにつなぐ目的の“スラー”
下の括弧:同じ音程の音の長さをつなぐ目的の“タイ”

となります。

括弧がつないでいる音が
違うならスラー → その括弧の中の音を滑らかに弾きたい! → その音を一弓で弾く
同じならタイ → 音の長さを足す

この基本に則って、どういうフレーズになっているのか読み取ってみましょう。

例えば例えば?


↑こんな楽譜があったとさ。こんな風に演奏します。↓

スラー と タイ


五線譜と同じように、数字譜で音符の上に括弧がかかっています。
ご存知、 「スラー」 と 「タイ」 です。


どっちがスラー??


違う音程(数字)をつないでいる括弧 → スラー
同じ音程をつないでいる括弧 → タイ

ですね。
ニ胡やバイオリンなどの弓奏楽器では、この指示を次のように演奏します。

・スラーで囲まれた複数の音は一弓で弾く

・タイで囲まれた音は音の長さを足した分弾く

例えば?


こんな楽譜があったとした場合、上から順にこんな感じの運弓となります。↓↓

本来の意味

スラーがつくことによって、弓を扱う右手と音程を決める左手の動作のタイミングが入れ違いになってきます。
最初はそれだけで大事件(;゚∀゚)=3アヒャー!!

楽譜どおりにスラーを弾きこなすことが大変なのでついつい忘れてしまいますが、
そもそも、音符をつなぐ括弧のもともとの意味は、
括弧で囲まれた音を滑らかに弾く」というものです。

滑らかに弾くための手段として、複数の音を一弓で弾こうってこと。

せっかく一弓でたくさんの音を出していても、滑らかさが無ければ意味がないし、
逆に、音ごとに弓を返してしまっても、滑らかであればOKともいえます。

演奏行為の目的と、その先にある完成した音楽のイメージをしっかり持って演奏することは本当に大切です。
テクニックは、すべてその実現のための選択肢の一つにすぎません。

二胡・音の終わりの処理


弓は真っ直ぐ運ぶのが基本です。
でも、曲の終わりなどで、最後の音をキレイにフェードアウトさせたいのに、
真っ直ぐ弾くだけでは、なかなか細かい雑音がまざってキレイに終われない…涙
てなことはありませんか?
音の終わりをすうっとフェードアウトさせたいとき
また、スパッと切るような音の終わりにしたいとき

弓の運びの一例を紹介します。


ふわっと


音がなくなる瞬間に弓を”フッ”と持ち上げます

ポイントは、「音が消える瞬間」に「突然ふわっと」右手首が浮き上がる感触です。

弓は胴の上に乗せたまま弾かないといい音がしない→弓が浮くと音がみるみる軽くなる、という現象を利用します。

弓を運びながら徐々に持ち上げてはだめです。
弓が上がりだしたらもう弦への圧力は開放しています。

弓を持ち上げるといっても右手側だけで、弓先は二胡の胴体にのったままです。

いろいろやってみて、感触を掴んでみてください。
この動画では長い音のフェードアウトをやっていますが、
音を短く切り上げるときにも頻繁に使えます。

いろいろな演奏を見てみると、音の終わりで弓を持ち上げる動作が見れますよ。

右手のピチカート その3 外弦ピチカート


弓を持つ方の手で行うピチカートあれこれ。
<その1><その2>とみてきましたが、今回はいよいよ使いどころの難しいテクニックを紹介します^^;。


なんと外弦をピチカート

弓を持つ側の手でおこなうピチカートは内弦がほとんどですが、今回は右手で行う外弦ピチカートのやり方です。

内弦に毛を当ててミュートするため、弓を持ったまま行います。
 

やり方!

 
①弓の毛の手首側で、内弦をぎゅっと押さえます。
外弦が完全に自由になっていないといい音しないので、毛が外弦に当たらないように注意です。

②右手一指し指で外弦を弾きます。
この場合は手首を使えないので、指の関節をしなやかに使って外弦のみを弾いてください。

左手で普通に押弦することで音程を変えることもできます。

いかがですか?右手の外弦ピチカート。
ここまでくるといよいよ使い道にこまります(笑)

僕もこの曲でしか使ってるのみたことありません…
↓↓1:33あたり

 

二胡のピチカートいろいろ

二胡で使われるピチカートあれこれを見てきました。
二胡には指板がなく弦がちゅうぶらりんの状態ではじくのでバイオリンと違って開放弦以外は音が伸びません…
でも使い方次第でいろんな遊びができると思います。
ぜひ活用してみてくださいね!!

左手のピチカート その2


左手のピチカート その1 のつづきです。


Ⅳ)親指で内弦をピチカート

これはちょっと変形のピチカートです。

弓を外弦に当ててミュートします。
親指で、内弦の真ん中あたりをピチカート。


これだけ。これは難しくはないです。
どこで使うねんって感じですが…

ピチカートあれこれ

以上、左手のピチカート
Ⅰ)弦の上に指を置いてから行うピチカート
Ⅱ)指が弦に触れていない状態から行うピチカート A
Ⅲ)指が弦に触れていない状態から行うピチカート B
Ⅳ)親指で内弦をピチカート

を見てきました。

これらを組み合わせると、こんな演奏が出来ます。
難曲「陽光輝くタシュクルカン」!!

1:08がⅣ)!
1:42がⅢ)!!
1:44からⅡ)!!!
とどめにまたⅢ)!!
んで、7:16からポンポン聞こえるのはⅠ)で、
曲のおしまいの一音も外弦Ⅰ)のピチカート&内弦開放の組み合わせです。

んんー。

これはチャレンジする気になりません(笑)
この曲の楽譜を見ると目がチカチカします(/TロT\)

<番外編!>

左手のピチカートは、基本的に開放弦の音を鳴らすことが多いです。
でも、うまいことやれば音階を奏でることもできます。

音程を押さえながら、自由になっている指でⅡ)のピチカートをしたり、
押さえてた指でⅠ)を行ってメロディを造ります。

こんなふうに…

…地味です^^;。
用途にあったピチカートを使い分けましょう!

二胡・抛弓のやりかた


賽馬などで見られる、弓を跳ねさせてリズミカルな演奏をする技、抛弓

あまり出番はないけど…抛弓にチャレンジ!


小林式抛弓のやり方

僕の抛弓のやり方を動画にしてみました。

超ざっくりした説明ですし、演奏家ごとにやり方が違うと思うので、あくまでご参考まで。

ポイントは?

・弓の「竹」と「毛」が上下の関係になるように手首を上げます。
手首関節を、弓を持っている右手親指が上を向くくらいあげます。

・右手で毛をしっかり張ります。
毛の弾力を利用して演奏します。

・右手首を回転させて、弓を上下させます。
まず、弓の上下だけの運動からやってみましょう。右手首だけの仕事です。
右腕全体で上下させない、というのが小林的理想。なかなか難しいですが…
下ろした時、二胡の胴に弓の毛が当たるわけですが、毛の弾力で弓が「ボヨヨ~ン」となるのを感じてください。

・横の動きを加えて音を出す。
抛弓で弓の引く方向は多くの場合、弓が上がるときが「引き」、おろすときが「押し」です。
(もちろん曲によります)
横方向の動きは腕全体で。
歯切れのよい音になるように!

弓の中心からすこし先の方がやりやすいのではと思います。
トリッキーな技なので見た目を派手に魅せるのもアリですが、技の基礎としては、できるだけ弓が“暴れ”ないようなシンプルなやり方を探ってください!

参考にした動画

僕が抛弓のやり方の参考にしたのはこの動画です。↓

んにゃ~名演ですね~

抛弓は1分4秒くらいからやってはります。抛弓の始めのほう、ほとんど右腕が動いてないです。
このシンプルな動きが基本だと思います。

後半は音量をあげていくため、横の動きの幅をとっているんですね。

この動きに馴れてきたら…
この練習曲をやってみましょう!
↓↓↓↓↓↓↓↓

→●二胡の抛弓練習曲

二胡の抛弓練習曲


弦の上を弓が跳ねるような動きで、馬が走るようなリズムとともにメロディを奏でる「抛弓」。

疾走感を表現する時に使われることが多いです。

二胡の抛弓練習曲です。


やり方は?

具体的なやり方はこちらをご参考ください。↓

●二胡・抛弓のやりかた

抛弓練習曲

→楽譜はこちらをクリック!

この技は賽馬などで使われますが、そんなにしょっちゅう出番があるわけでもないです^^;
この練習曲でやっていることはそれなりに高度なことなので、これが弾ければ抛弓をいろいろと活用できると思います。

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