Twitterを見ていると、中国国内向けのyoutubeのような動画サイト「youku.com」で、僕の好きな二胡奏者・陳軍さんが弦の張り方を紹介しているというので見てみました。それが下の動画。
youku.comの動画は日本ではとても見にくいです。うまく再生されます?
ここで紹介されていた「ねじれないように張る方法」がとても面白いものだったので、効果があるのか自分でも試してみました。
弦のねじれ
ここで言う弦の”ねじれ”、というのは、下の図のような方向のねじれです。
このねじれは見て確認することはできません。
弦を楽器に張るときに、弦をこういった方向にねじったまま張ってしまうと、そのねじれば固定されたままになります。
ねじれた状態は弦にとってストレスとなり、響きが濁ってしまう、という話です。
他の弦楽器でも
目で確認できないので話題になりにくいのですが、ギターの弦でも、ねじれについての気をつかっている人の話を聞きます。
弦の取り付け方法や保管方法にいろいろな工夫をされているそうです。
弦は普通、ぐるぐる巻きにして四角いパッケージに入って販売されていますが、ねじれを排除するため、工場からいちども曲げずに、まっすぐの状態で販売されている弦もあるほどです。
弦のねじれは、音色や発声の曇り、ビビリ、ウルフトーンにつながるとされています。
ねじれないように弦を張る
最初に紹介した陳軍さんの動画では、ちょっと手間はかかるけど、ねじれを最低限にして二胡に張る方法が紹介されていました。
僕は中国語がわからないのですが、見よう見まねで、その手順を動画で紹介したいと思います。
手順1)新品弦の両端をすこし曲げる。
手順2)弦の輪を二胡下部のピンにかける。
手順3)弦の先を糸巻きに通し、仮に糸巻きに巻きつける。
*最初に曲げた部分が糸巻きの穴に引っかかるようにします。
手順4)糸巻きから弦が外れないように弦を緩めて、二胡下部のピンから弦をはずす。
手順5)糸巻きから輪に向かって、指で弦を何度かしごき、ねじれをとる。
手順6)最後にしごいて、輪が向いている方向でピンに弦をかける。
手順7)糸巻きを巻き上げ、弦を張る。
手順8)弦が外れないように注意しながら、糸巻き側を綺麗に巻きなおす。
手順2~7について、別アングルからの映像もあります。こっちの方が見やすいかも?
少し手間がかかりますね。千斤も邪魔になるのではずして行いますし、”ねじれ”について考えるなら、途中で弦がはずれてしまって巻きなおすなんてことになったら意味がなくなってしまいます。初心者には難しい方法かもしれませんね。
比較してみた
このブログでも、過去に僕がやっている二胡弦の巻き方を紹介しています。
これらは弦のねじれについて特に考えているわけではありません。
ですが、これまで特に不満もありませんでした。
さっと手早く張れて便利です。
「ねじれなんて、別に気にしなくてもいいのでは…??」
という自分の疑問に答えるため、今回同じ弦を二つ用意して、「ねじれないように張る方法」と「特に気にしないで張る方法」の両方を試してみることにしました。
弦のストレスを感じる…
僕としては想像以上の違いを感じました。
「ねじれないように張る方法」で張った二胡に比べて、「特に気にしないで張る方法」の二胡は振動が濁っているような感覚があります。
「特に気にしないで張る方法」だって、別にねじれるように巻いているわけではないのに、ねじれてしまっているんでしょうか。弦がストレスを背負っているなあ、ということが比べてみると感じられました。
「ねじれないように張る方法」の弦からは、パーッとすっきりとした振動を感じます。
楽器が良く鳴りますし、音色に輝きがあるように思います。
動画ではわかりにくいと思いますが、それぞれの巻き方で演奏してみました。
「ねじれないように張る方法」の二胡の方が鳴っている感じしませんか?
体に伝わってくる振動に違いをしっかり感じました。
弦の個体差を疑い、「特に気にしないで張る方法」で張った弦を一度はずして、同じ弦で「ねじれないように張る方法」で張りなおしてみました。すると、弦の振動がスッキリして、良く鳴るようになりました。
この弦の張り方はいいかもしれません。
積み重ね
「特に気にしないで張る方法」の音が使えないわけではないのですが、想像以上の違いがあり、驚きました。
手順についてはちょっと僕として疑問もあるので、これまた自分流にアレンジして利用していきたいと思います。
作業は簡単ではないので、ゆっくり怪我のないように行ってくださいね。