9月2日、武生sobars’+で予定されている
スワンピータケシ&杉本“Q”仁美「Roots&Immigrant soul北陸レコ発ツアー」
のチラシをつくりました!
「Roots&Immigrant soul」レコ発ツアー
スワンピータケシさんの新譜「Roots&Immigrant soul」発売記念ライブとのことで、
今回は富山→石川→福井と回るツアーだそうです。
会場は武生sobar’s+
「Roots&Immigrant soul北陸レコ発ツアー」
9月2日(日)
会場:武生sobars’+(福井銀行武生支店となり地下)
19時半開演/チャージ2000円(w1d)
<出演>
スワンピータケシ(歌&ギター)
杉本“Q”仁美(バイオリン&ブルースハープ)
ゲスト:珊瑚ちゃん
前座:竹内くんと小林くん
竹内太三修(歌&ギター)
小林寛明(二胡他)
お問い合わせは
erhufukui@gmail.com(小林)まで。
みんなでいこう!
CD評
音楽ライター・片山明さんによる、スワンピータケシさんの新譜「Roots&Immigrant soul」のCD評です。↓↓
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スワンピー・タケシ(Swampy Takesh/以下スワンピーさんと表記)さんの新作「ROOTS & IMMINGRANT SOUL」が楽しい。
冒頭、高らかに管楽器が響き渡るディキシーランドジャズ風のイントロに導かれて、音旅は始まる。ルイジアナからテキサス、メキシコ国境、南米、ン? これは中近東? スコッツ/アイリッシュ? と、こちらの想像力をかきたてるように曲がすすんでいく。ピリッと来るようなスピリッツでも用意し、酔いにまかせて聴きすすんでいくと、歌詞の中にもあるが、まさに桃源郷へ誘ってくれそうな心地よさ。そしてアルバムは夢見心地のまま、気がつけば元の出発点に一巡しているという心憎い流れとなっている。
CDにつけられた宣伝用の帯には「スワンピータケシが綴るルーツ音楽と移民達の魂」とある。そのタイトル通り、音楽のベースになっているのはいわゆる「ボーダー・ミュージック」。一例として、収録曲の中に「Bayou jungle Acadian driftwood」という1曲があるが、これはカナダからミシシッピー河を下り、ルイジアナのバイユー地域に流れ着いたフランス系移民のこと。アルバムはそのように、本人がこれまで実際に足を運んで目にした“移民達の子孫が暮らす”地からインスピレーションを得て書かれた曲で構成されている。それをリスナーに届きやすいよう日本語で表現しているのだが、演奏と歌の微妙なバランス感覚が面白い。そう、時に関西人らしい節回しなども見え隠れするも、それがこの音楽をいっそう親しみやすいものにしている。
スワンピーさんは1964年、京都生まれで、大学在学中から音楽活動をはじめ、主に関西を中心にオリジナルをメインとしたライブ活動を続けているシンガー。普段は公私にわたるパートナーである杉本Q仁美とのコンビ「タケQ」でのライブ活動もよく知られるところ。90年以降、ニュージーランドを皮切りにアジア、南米、北米、アイルランド、スペイン、モロッコ、キューバ等を旅して回り、この間にはルイジアナ州のFM局に生ライブ出演、またアルバムがヘビーローテーションでオンエアされ、地元紙1面にも取り上げられるなどの快挙をなしとげている。とりわけ、複数回にわたって訪れているアメリカ南部の音楽への思い入れは深く、ソロとは別に今回のアルバムでも濃厚に香るザディコ/ケイジャンのバンドを組み、ライブも行っている。2000年に1stをリリースし、2004年には2ndを、それから8年ぶりとなる新作は前作からコンセプトを引き継ぐ形で、よりいっそう辺境のルーツミュージックに踏み込んだ内容になっている。
彼をバックアップする演奏陣は関西の音楽シーンをリードする面々がこぞって参加しているといった風。全てを紹介しきれないが、R&Bやアメリカンルーツ、河内音頭でも活躍するレゾネーター・ギター、E.ギターの森俊樹をはじめ、海外アーティストのサポートもつとめるなど、今や日本を代表するブギウギピアノ弾きの井山あきのり、先述のフィドル、ブルースハープの杉本Q仁美、テックスメックス/コンフント界からアコーディオンのHonorio、Bajo Quinto(10弦ギター)のSpock、そしてブルーグラス界からもマンドリンの秋元慎が参加と、総勢16名のいずれ劣らぬ凄腕揃い。スワンピーさん本人も基本はアコースティックギターとボーカルだが、実は彼はザディコ/ケイジャンでよく使われるラブボード(Rubboard)の第一人者の一人で、本作でもその腕前をさりげなく披露してくれている。
基本はいわゆるシンガーソングライターのアルバムなのだが、歌に彩りを添える演奏とのコンビネーションが前例がないくらい刺激的だ。かつては久保田真琴、オレンジカウンティブラザーズといった似た指向性の音楽家はいたが、ここまで外来のルーツミュージックと日本語の折り合いをつけた作品はあっただろうか。これも、ある意味でクレオール的とも言える関西/大阪という土壌だからこそ生み出された音楽なのかもしれない。—-片山 明「小さな町の小さなライブハウスから」著者