前回の「固定ド」についてのエントリにコメントをいただきました。
http://erhufukui.linkulblog.net/e120162.html#comments
要約すると…
「五線譜も固定ドではなく、トロンボーンやサックスなど管楽器では移動ドで書かれているものがある」
とのご指摘です。
ごもっともです(笑)
楽譜は音楽を記録する道具にすぎないので、
表現したい作品に合わせて様々な使い方をされているのは事実です。
ですが、五線譜のシステム根幹そのものは、僕は「固定ド」の考え方で作られていると
思っています。
以下にその理由をば。
このマーク。音部記号と呼ばれるもののひとつで、
ご存知「ト音記号」です。
このマークは、五線上で、
<矢印の部分が「ト=ソ」ですよ>
というマークです。
このト音記号がついた楽譜で見やすくあらわせるのはせいぜい2オクターブ前後。
下線や上線がいっぱいついて見辛くなっちゃいます。
そこで、様々な音域にあわせて演奏者が見やすい、演奏しやすい
楽譜が書けるように、数種類の音部記号が作られました。
ヘ音記号
ハ音記号
それぞれ、五線上で矢印の場所が
「へ=ファ」「ハ=ド」
ですよ、という音程上の絶対値を表しています。
また、その音部記号をずらして、演奏する音域が見やすく表示されるようなルールがあります。
→リンク:wikipedia「音部記号」
音部記号は、五線上の実音の場所を示しています。
もし移動ドの考え方があれば、音部記号を上下にずらしたり
他の実音を五線上に指定する音部記号は産まれてこないで、
五線上の音符が表す実音をその都度都合のいい音に
割り当てるようなルールになっていたのではないでしょうか。
(数字譜はそのような方式をとっています)
また、五線譜はハーモニーを視覚化することが得意であり、目的であるように思います。
オーケストラなど複雑なハーモニーを考える上で、五線譜上の音は、
全てが絶対値(実音)で書かれていないととても見づらくなってしまいます。
(これについては別のエントリで)
以上が、五線譜という記譜法が固定ドで考えられていると僕が考える理由です。
…で、最初にあった質問にもどります。(汗)
僕が専門外ですが、トロンボーンやクラリネット、サックスなどには
「アルト」「テナー」などの大きな音域の括りのほかにも
いろいろな種類があるようです。
「C管」「B♭管」「E♭管」…などなど。
これは、管の長さが違うので、同じ押さえ方をしても違う音が出る、というものです。
関連URL
http://www2.yamaha.co.jp/u/naruhodo/04clarinet/clarinet2.html
これらの楽器は、「移調楽器」と呼ばれています。
関連URL
http://www.animato-jp.net/~se/jituon.html
つまり、
楽器が移調しているために、
演奏者が移動ドの視点で読むルールを五線譜に持ち込んだ
と、考えることはできないでしょうか(笑)
(「移動ド」してるのは五線譜じゃなくて楽器のほう…)
ああー文章にするのむつかしいー!!
コメントへの僕の答えとしては、
五線譜は固定ドの考え方を基に作られた。
それをどう使うかはもちろん自由。
移調楽器の楽譜は五線譜の利用法の一つといえるのでは。
ということになります。
いかがでしょうか?
ありがとうございます。本ブログ大変勉強になります。
しかしトロンボーンの場合楽器はBb管が大半ですが、
譜面はinC(ピアノと同じ)で説明がつかないような…
で音感のない自分はどう対応しているかといえば
すべてを曲をinBbの階名でよんで
keyofCの曲(A列車で行こう)では「レー」と唱えるとルートの解決感
keyofFの曲(酒とバラの日々)では「ソー」と唱えるとルートの解決感
keyofBbの曲(アイガットリズム)は「ドー」と唱えるとルートの解決感が浮かんできます。中規模の転調は都度対応します。
これは実はすごく効率の悪いやり方で
ボーカルの人が持ち込む独自のキーには即座に対応できません。
だから自分は「オールオブミー」や「バードランドの子守歌」などは3つのキーの進行を暗記する羽目になりました。
>テイルゲイトさん
いつもありがとうございます。
まあ、自分にとっていいように使えばいいってことですもんね。
十人十色千差万別
いつも丁寧なお返事ありがとうございます
さすがは師匠ですね