丸三ハシモト株式会社製の絹弦を試してみた!


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先日演奏で伺った滋賀県木之本町大音。この地域は昔から絹糸の生産で知られています。

大音特殊生糸協同組合さんの絹糸の工場見学をさせてもらったのが上の写真。熱気の中1本1本をまゆからつむいでいく大変な作業でした。

ここで紡がれた生糸を加工する丸三ハシモト株式会社さんは、三味線や琴、琵琶などの楽器用絹弦のほか、からくり人形や義太夫で使う絹糸を生産する、今では貴重な工場となっています。

お話を伺うと、中国民族楽器の古琴の絹糸も作っていて海外に出荷している、またなんと二胡&中胡用絹弦も作っているとか!!

現在胡琴用絹弦は日本では流通していないそうなのですが、特別に一組いただきましたのでレビューしてみたいと思います!


胡琴用絹弦

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二胡もかつては絹弦を使っていました。近代になり、やはり西洋化していく流れの中で絹糸から鉄弦へと移り変わって、楽器として洗練されていきます。

その結果としての現在の二胡は、当然鉄弦を使うことを前提に作られています。そんな現代二胡に弦だけ古式の絹糸を使うことにメリットがあるのか…少し疑問でした。

実際、中国製の二胡用絹弦をずいぶん昔に使ってみたことがあります。
音色は確かに、古い録音で聴く事ができるような、荒く深い、「ああ~ん!これぞみんぞくのおんがくっ!(笑)」と唸るような音色になりました。

が、どうしても鉄弦にくらべ音量が小さい、音程が安定しない、音色の扱いが難しい、ハイポジションの難易度が高い…など、演奏性のデメリットが大きくてお蔵入りさせていていた過去があります。いろいろ調整しても楽器が”鳴りにくい”。これが僕の絹弦のイメージでした。

さて、この日本製絹弦はどうでしょう…

手製

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丸三ハシモト株式会社製二胡&中胡用絹弦。この商品は海外向けとのことで、メイドインジャパンであることがわかりやすいパッケージです。

弦が黄色い!これは演奏時の視認性を高める工夫で、ウコンで染めるそうです。三味線の弦も黄色いですよね。

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弦自体、たくさんのまゆからの糸をあわせた、大変な工程を経たものです。
また、紙をよって弦を止めているあたり、手作り感があっていい感じ。このあたりも三味線の弦と同じです。

弾いてみた


鉄弦を張ってあった二胡&中胡の演奏を撮影し、その後それぞれ絹弦に張り替えたものの演奏を撮影しました。
ビデオカメラのマイクの音声ですが、自動音量調整機能をオフにしていますので、鉄と絹の音量差は実際のものに近いと思います。
(服装が違うのはお風呂に入ったからでーす)

いかがでしょう?

「ん?あんまり違いがわからないぞ??」と思いませんか?

そうです!そこに驚きました。

一言で言えば、”現代的な絹弦”。

演奏性が鉄弦に比べてほとんど変わりません。
運弓への反応もいいし、高い音も違和感なく弾けてしっかり輝きます。音程もはっきり聞き取りやすいし、鉄弦のときと同じ感覚で十分演奏できます。
音量感もしっかりあります。

これは「鉄弦に近いから良いのだ」という話ではありません。
どんな音色をもっていたとしても、弾いていて楽しくないとね。

絹糸ならではの生命感のある深い音色を聴く事ができます。
ですがそれは、古い録音にあるようなものよりも、パリッとシャキッとした音といいますか…今風の音といえると思います。このあたりは好みの問題ですね。

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この絹弦自体、鉄弦よりも多少太めなのですが、弦が黄色い、というのは確かに演奏中はパッと目に映るので見やすいです。

丸三ハシモト株式会社さんが長年培ってきた技術が込められているのを感じます。

そりゃ鉄にくらべれば音量も音色のパンチも落ちますし、調弦も狂いやすいです。張りっぱなしで長期間使える鉄弦とは違う使い方を理解して使わないといけないと思いますが、それも弦の個性といえる範囲。
鉄弦のフォークギターとナイロン弦のクラシックギターがそれぞれの個性を認められ共存しているように、この絹弦の胡琴はアリだと感じました。

選択肢に入れたい

弦の選択は楽器のキャラクターを変えます。
今は二胡用の鉄弦にたくさんの商品があり、それぞれに特徴がありますが、この絹弦も選択肢に入れたいです。

また、二胡の生徒さんで、「私は別に人前で弾きたいなんて思ってないし、難しい曲も興味ない。ただ二胡の癒しの音色に浸りたくて二胡をやってるのよ」という人は多いのではないでしょうか。そういう方には、この絹の落ち着いていてぬくもりのある音色はオススメかもしれません。

…とはいえ、現在日本では流通していないこの絹弦。
どうしてもほしい!と言う方は、丸三ハシモト株式会社さんに直接問い合わせてみてください。

丸三ハシモト株式会社 ホームページ
http://www.marusan-hashimoto.com/

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