「二胡情報」カテゴリーアーカイブ

小林がデンペンに使ったテープの変遷


コメントで、

「デンペンに貼るテープは何がいいか?」

と質問をいただきました。
この商品で決まり!といえるほど厳密に試してはいないのですが、僕がデンペンが減らないようにするために試してきたことをならべてみます。


まず大前提として

デンペンは二胡の胴と弓がこすれあう部分を保護する部品です。
↑の写真のべっこう柄の部分。

これは多くの場合プラスチックなどの樹脂でできていて、弓の毛がこすれあう部分などが磨耗によって磨り減ってしまいます。

交換はそれなりに面倒なので、磨り減る部分にテープを貼って、テープを交換していくことでデンペンを守るという、なんだかイタチゴッコなことをやっているわけです。

演奏性で言うなら、デンペンにテープは貼らないほうがいいです。
テープは少なからず運弓の抵抗になり、弓との相性が悪いとかなり弓の運びが重く感じられるようになってしまいます。

長時間練習できる人はそれなりにデンペンも磨り減ってしまうので、必要悪としてテープを使っているということ。

逆に、「数年二胡やってるけど…デンペンが磨り減っているようには見えない」なんて人は、テープを貼らずにガンガン弾いていけばいいと思います。

デンペンが減って行くのを感じている人は、テープなどの保護策をとりながらも、同じ演奏をより少ない力でできるように注意して、デンペンに弓を押さえつけるように演奏していないか確認してみましょう。

最初はガムテープ

最初に試したのは紙のガムテープ

家庭にある普通のガムテープ。
紙製のものです。

これは表面ツルツルで演奏性はまずまずですが、あっ!という間に磨り減って穴があいてしまいます。
1日もつかどうか…^^;

デンペンにテープを試しに貼ってみたい人には、身近な素材としてお勧めです。

次は絆創膏

次はフィルム状の絆創膏テープ。

これはツルツルそうだぞ!と思って試してみました。
耐久性は良く無いですが演奏性はまずまず。
いつも2枚重ねて貼っていました。

1年ほどかけて使い切りました。

次も絆創膏

上のを使い切って、次は不織布を使った絆創膏テープ。

これはテープ物の中では一番よかった!
すべりもいいし、薄いのに耐久性があって結構もちます。
テープならば薄い不織布テープがお勧めです。

ただ、テープ物は何度も貼り替えを行っていくうちに糊が残ってネバついてしまいます。
僕は気が向いたときにエタノールを少しつけて取り去っていましたが、確かに面倒ではあります。

現在は金属

そしてしばらくしていたら、「金属性のデンペンカバーを貼っている」という方から連絡をもらって試してみました。

◎金属デンペンのススメ

ちょっと目からウロコの作戦でした。
ちょっとした工作は必要ですし、僕の場合工作が粗いからこそ弓の毛が時々ひっかかったりしますが、滑り最高、磨り減る様子は全くありません。

できる方にはお勧めしたい方法です。

磨り減る方はお試しを

僕の生徒さんでも、数年のキャリアがあっても、全員の二胡のデンペンが磨り減っているわけではありません。

素のままなら素のままが一番いいので、ご自身の二胡や練習環境の状態と相談して試してみてくださいね。

二胡の音が変?そんなときは


普通に使ってる分にはなかなかこうはならないと思いますが、弦を交換したり、大きく調弦を変えたり、千斤を巻き直したりした後、二胡の音がなんだかとても変になってしまうことがあります。

ぎぃーー
じぃーーー

と、とても金属的な雑音で、メロディをつくることもできなくなってしまう。
そんなとき疑ってみるポイントを紹介します。


こんな症状

動画にしてみました。

症状は~0:10くらいまで。
ふざけているわけでなく、本当にこんな音しか出なくなってしまうことがあります。

そのあと、千斤を揉んでやると、普通の二胡の音色にもどりました。(調弦は狂ってますが^^;)

千斤部の弦の重なり

レッスンで説明したときの写真より。

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↑これは、二胡の下側から千斤のところの断面を見た模式図です。

黒い線は千斤です。普段は内弦と外弦が横に並んでいます。

これが、弦を交換したり緩めたり、千斤を巻き直した後に、

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↑こんなふうに、二本の弦が縦に並んでしまうと、異常な雑音がでてしまうようになります。

こんな場合は先の動画のように、少し千斤のあたりをモミモミして、二本の弦が横に納まるようにすれば元通りになります。

自分の二胡から変な音がしてもあせらずさわがず対応しましょう。

弦交換の時にはもひとつ注意

二胡の弦を交換するときに注意してほしいのですが、1本の弦が張ってある状態でもう1本の弦を張るとき、最初に張ってある弦にからめてしまわないように気をつけましょう。

このときも同じような金属音になります。
千斤を揉んでも症状が治らない時は、二本の弦がからまっていないか確認です。

参考リンク

◎二胡・弦の巻き方 その1

◎二胡・弦の巻き方 その2

◎二胡・千斤のまき方

二胡の頭修理にて


レッツ修理!イエイ!

「二胡の頭がずれたのを直してほしい」とのこと。

ずれた??

いろんな二胡があるものです。


ネジ

二胡の頭の部分が“取れる”事故はよくあることですが、“ずれる”とは?

現物をみてみると、頭の部分はネジで接合されていました
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接着剤も使ってるようですが、少しの量。

これなら、誤って頭の部分をぶつけても、このネジ部でグニっと曲がって衝撃を吸収してくれますね。
接着剤も薄く塗られているだけなので、再処理も簡単でした。

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こーんなこともできちゃう。

二胡のスタッカート その3 やり方B


二胡で弾くスタッカートのやり方。

今回紹介する「やり方B」が、よく使われる二胡のスタッカートです。

んがー!


はじく!

音を短く切って弾く…でいいのですが、わざわざ難しく考えて見ます。

弓で弦を擦って音を出す二胡ですが、このスタッカート「やり方B」では、ギターのように弦をはじく動作を弓を使って擬似的に行います

この説明のとおりに弾くのはとても難しいです^^;

なんかいろいろしゃべってますが、要点は
・弦をはじくようなイメージで。“擦る”ではない。
・右腕が放物線を描いて余韻を作る。

というところ。外弦でやるのはまた難しいですが、内弦で練習してコツをつかんでください。

弦を弾いたときのような音のイメージをもって、気長にチャレンジしてください。

普段の運弓にも

この<弓で弦をはじく>ような右手の動きは、普通の音を弾くときにもいろいろと良い影響をもたらしてくれます。

音のアタックがはっきりしたり、瞬間的に強い音を作ったり、いろいろと。

精神的に健やかで余裕のあるときに、スタッカートの練習、やってみてください。

二胡のスタッカート その2 やり方A


二胡で良く使われるスタッカートは2種類。

先に、簡単だけどあまり使わないほうのやり方を紹介します。


音の長さだけ動かす

スタッカートは、「音を短く切って演奏する」というもの。

ならば、「弓を少ししか動かさなければよい」と考えるのが「やりかたA」です。
↓↓

この動画のように、実際の音の長さだけ弓を動かし、それ以外の音が出ないように、身体を力ませて動きを止めます。

原理は簡単。演奏も難しくはないですね。

あまり使われません

やってみてわかるように、キレイな音はしません^^;
“力”で体の動きを止めるので、音楽の流れも止めてしまいます。

なので、この「やりかたA」はあまり登場しません。

時折、連続してトリッキーな技として登場することがあるくらいです。


↑この曲の2:21と2:35に登場します。
これ、実際やってみるととても難しい!
一弓で連続して行うと、弓先になると音のツブをそろえるのが大変です。

この曲の場合、それまでがとても流麗でゆったりとしたフレーズが続くので、この連続スタッカートがとても印象に残りますね。

次は、よく使う二胡のスタッカートを紹介します。

二胡のスタッカート その1


二胡で行うスタッカートについて。

今回はとりあえず、スタッカートの基礎部分を。


スタッカートとは

スタッカート(staccato)は、

音の長さを短く切って弾く

こと。
「音価の半分の長さ鳴らす」と説明されるそうですが、実際にどのくらいの長さにするのかは、目的によって変わります。

二胡で使われる数字譜では、
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このように、音符である数字の上に黒い下向きの三角形がある音をスタッカートで演奏します。

短く“聴こえる”こと

伸びる音を出すことができる弓奏楽器である二胡にとって、実は歯切れ良いスタッカートは難しい技術だったりします。
まずは細かいことは抜きにして、指示のある音を短く弾いてみるだけでいいと思います。

練習の中で注意して欲しいのは、指示のある音をいかに短く弾くか、ではなく、

前後も含めたフレーズの中で、スタッカートした音が短くなったように聴こえるように演奏すること

です。

スタッカートの指示のある音にだけに注目しないで、その音が「あ!短くなった!」と感じてもらえるように、その前後のフレーズを流麗に弾いて、落差を大きくすることも大切です。

この落差がしっかりあれば、スタッカート音自体がそれほどキレがなくても、十分変化の感じられる演奏になることは多いです。
逆に、十分に音を切りあげる技術を持っていても、前後との落差が少なければ効果が薄くなってしまいます。

なぜ?

演奏指示には目的があるはずです。

スタッカートなら、
・歯切れ良い演奏でリズムに変化を与えたい?
・それまでの流れを一瞬止めて緊張感を演出したい?
・フレーズの息継ぎ?
・それまでのフレーズの勢いのゴール?
・次から始まるフレーズへの助走?
他にも考えられると思います。

どういったつもりでここにスタッカートがあるのか、ということについて考えてみると、実際にどう演奏したらよいかについてのヒントが見つかるかもしれません。

やみくもに短く切ることだけに注目しないで、その前後のフレーズの中でスタッカートが効果的に聴こえることがなにより大切でっせ。

次は、具体的なスタッカートのテクニックについて。

金属デンペンのススメ


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弓との擦れから胴を守る部品、“デンペン”。
写真の鼈甲柄の部分です。

プラスチックなどの樹脂でできてるデンペンは磨耗によって磨り減っていき、最終的には交換しないといけなくなります。
デンペンは蛇皮の上に直接接着してあるので、バリッとはがして付け替える作業は何度もやりたくないものです。

それで、デンペンの上にテープを貼ったりしてデンペン自体が磨り減るのを防いだりしている人は多いと思います。僕もそうです。

テープはすぐ磨り減っちゃうので簡単とはいえ作業は日常的だし、多少とはいえテープ表面と弓との摩擦が運弓を重くしてしまうこともあります。

スムーズな運弓ができる、磨り減らないデンペンはないものか…
そんな悩みにズバッとした答えを、ブログを読んでくださっているという“Sさん”からメールで教えていただき、早速試してみました。

Sさんありがとうございます!


Sさんからのメール

Sさんからはこんな詳細な資料を頂きました。

→クリック!「Sさんから頂いた資料」

デンペンは主に弓の毛が擦れている部分が減ります
この部分だけを金属にする、というもの。

目から鱗、灯台元暗しでした^^;

金属なら磨り減りにくいしツルツルです!
これを自分の二胡で試してみることにします。

工作!

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こんな銅版が家にありました。0.2mm厚くらいでしょうか。
これを少し余裕をみて切り出します。

このくらいの厚みなら、なんとかハサミで切れます。
ホームセンターなどでも購入できます。

こんな感じにカット↓
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次に、前後の面を折り曲げます。
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ムニッと。

側面を曲線にカットして、できあがり。
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普通の両面テープを一面に貼って、二胡のデンペンの上に貼り付けました。

毛がひっかからないように

金属デンペンの両端を折り曲げるのは、演奏中に毛が引っかからないようにするためです。

【失敗↓】
はじめに、デンペンの磨り減る部分の最小限のスペースを狙って、こんな風に金属を切り出してみました。↓
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これでも、まあ支障はないのですが、金属デンペンの“角”にはぐれた毛がひっかかってしまうことがありました。

    ************

もとからついているデンペン全面を覆い、デンペン上に毛の引っかかり易い“角”が生まれないようにします。

Sさんの資料にある二胡は、金属デンペンと樹脂デンペンの高さを合わせ、毛がひっかからないような工夫がされていますね。

いいかも!

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すべりもよくて、どれだけ弾いても磨り減りそうな気がしない!!
普通の両面テープでも問題なく止まっていますし、音色に悪影響を与えているようには感じません。

Sさんはステンレスを使い、500時間ほど弾いても減ってる様子はないそうです。
銅がどのくらい摩擦に耐えられるかはまたレポートします。

デンペンがすりへってしょうがない!そんなあなた!!
簡単な工作で磨り減らないデンペン、手に入りますよ!

教えていただいたSさん、本当にありがとうございました!!

デンペンテープは“不織布”


弾けば弾くほどと磨り減っていくデンペン。

樹脂製のデンペンを貼り直すのは面倒なのでテープを貼って、磨り減ったらテープだけ貼りかえる人は多いと思います。


これはいいかんじ

最近買ったのは“不織布”のテープ。
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弓のすべりもいいし、耐久性もあっていい感じです。

このデンペン磨耗対策については、ただいまこのブログの読者さんに教えてもらった方法を実践中。
とてもよい気配がするのでwまとまったらまたお知らせしますね~

弓の毛 結び目??


新品の弓に松脂をつけて、さて練習。

???なんだか違和感が…??


結び目?

運弓してると、1箇所、「…カッ… …カッ…」と引っかかるようなところが。

竹の節でもないし、なんだろな…とよく観察してたら、

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緑の矢印のところ。

1本の毛に結び目ができていました。

これが弦にひっかかっていたんですね。
毛を竹に取り付けるときにできちゃったんでしょう。

この毛を切り取って問題は解決。
弓の毛は消耗品でどしどし切れますから、このくらいの切除はたいしたことではありません。

僕ははじめての出来事でしたが、新品弓を買うときには弾いてみた感触はもちろん、ざっと毛を眺めて確認してみるといいかも。

んなああー!

二胡セミハードケース ESHC-1 レビュー


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素敵な二胡ケースレビュー!
今回はセミハードケースです。


またまたマックコーポレーション

以前にも二胡ケースの紹介をしました。

●二胡ハードケース NKC-06 レビュー

●二胡ソフトケース NKB-02 レビュー

これらのケースすべて、マックコーポレーションさんという会社が販売されています。
この会社の商品はいろんなところで見かけますし、話も聞きます。日本国内で勢力を伸ばしてられますね。すばらしい~

セミハードケース

今回紹介のESHC-1は二胡のセミハードケース。

商品ページ。↓の下のほうにあります。
http://www.maccorp.co.jp/erhu/index.html

セミハードケースは、ソフトケースとハードケースのいいところをあわせた、軽くて楽器にやさしいケースです。

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リュック式に背負うこともできます。
ストラップと肩当がしっかりしているので、背負った感触も悪くないです。

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この位置の持ち手!これはポイント高いです。
ケース自体が軽量なので、ちょっとしたときにこう持ちたいことはあります。

注意点あり!

このESHC-1には大きな注意点が。

入らない二胡があります。

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僕の台湾製蘇州二胡は納まりましたが…

北京製などの、ちょっとがっしりした作りの二胡はサイズオーバーになることがあります。
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↑糸巻きが納まっていませんね。

龍頭も無理でした。
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セミハードケースの内部の素材は発泡スチロールのようなやわらかい素材なので、糸巻きや弓がちょっと納まらないくらいだったら、ぎゅ~~っと押し込むことでその部分がへこんで入るようになることはありますが…あまりお勧めしない方法です。

もちろん胴の大きな中胡も入りませんでした。
購入の際は、実際に自分の楽器を入れて確認してみることが必要ですね。

このESHC-1には、赤、黒、青のバリエーションがあるようです。

NKB-01と比べてみる

同社のソフトケース・NKB-02と並べてみました。

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赤いなあ^^;

ソフトケース・NKB-02の方がわずかに大きいですね。
スペック上は両方とも約1.4kgとのことですが、持ってみた感じではセミハードケース・ESHC-1の方が少し軽い印象です。

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ソフトケース・NKB-02は重量級のソフトケースといえます。
大きい二胡も中胡も入ります。

セミハードケース・ESHC-1はそれよりは軽く取り回しができる感じです。スマートな印象ですね。

要確認

セミハードケース・ESHC-1は軽くて楽器にやさしく、取扱いやすい二胡ケースです。
自分の二胡が入るのか確認が必要ですが、入ればとても便利なケースだと思います。

どうですか?お客さん!