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竿に印 その2 5つのデメリット



photo credit: dawvon via photo pin cc

僕は二胡の竿に印をつけるのはよくないことだと考えています。
ざっと思いついた5つのデメリットを説明してみます。
さあ勇気をもって、いますぐはずしましょう!


理由① 音を聴きいて修正しながら弾く習慣が身につかない

これが一番の理由です。目で印を見て弾くようになってしまいます。

印があると、すぐにでも“それなりの正確さの音程”が出せます。
“それなりの正確さ”とは、印象として「オンチだなあ~(一応メロディは伝わるけど)」くらいでしょうか。

二胡は後述のように音程が変わる要素が多いので、印の場所を押さえただけで正確な音程は望めません。
しっかりと自分の音を聴きながら、イメージしてる音との違いがあれば、すぐに左手の動きに反応させるクセをつけなくてはいけません。

二胡はプロでも一発で正確な音程を押さえられるものではなく、誤解を恐れずに言えば「まあこの辺りかなあ~」って感じで押さえて音を出してしまって、その音を聴いてから微調整をかける、ということを全ての音についてやっているものです。

印を見て押さえることで“押さえた”つもりになって、もう気持ちは「次の音の印はどこかな??」になってしまいます。
こういうのも良くないクセと言えるのではないでしょうか。

微妙に変化する音程を自分の表現の味方にすることが、二胡の演奏のステップアップにとても大切です。

理由② 正しいフォームが身につきにくい

二胡の演奏で最初に修得しないといけないものは、「正しいフォーム」です。

最初は誰でもいい音程がとれないもの。
そこで、「これはだめだ。でも印つければ!」ということでシールを竿にはったりするわけですが、
印の場所に指先を当てることが全てになってしまって、手首~腕全体のフォームを整えることに意識がまわらなくなってしまいます。

はじめはヒドイ音程でも、フォームさえちゃんと身につけば、美しい音程と音色はあとからついてきます。

また、雑なフォームでもそれなりの音程を押さえることはできますが、ビブラートなど装飾音やポジション移動などが複雑に絡む段階で大きな壁にぶつかることになります。

理由③ 楽器の構造

三味線や三線などでは竿にシールを貼って、押さえる場所を分かりやすくするのにはそれなりに効果があります。

二胡はこれらの楽器とはちょっと構造上の条件が異なります。
二胡は弦が空中に浮いている状態で押さえます。

指板のようなものに押さえつけて弦を固定しないので、弦を押さえる強さによっても音程が変わってしまいます。
また、弦と竿の印が離れているため、印を見て押さえたつもりでも、けっこうズレてしまいます。

理由④ 調が変わると印の場所がどんどん変わる

様々な調の曲を演奏するわけですが、演奏する調によって押さえる場所が内弦外弦が入り組んで複雑に変わっていきます。

印を頼りに“見て弾く”クセから抜けれない人は、新しい調を習うごとに色の違うシールをはったり、ほんと涙ぐましい努力をされておられます…

理由⑤ 痕がのこる

昨日の記事の例もそうですが、長くシールを貼ったりしておくと、糊がこびりついたりします。
木の色がそこだけ変化するとか。
そうして修正不能な痕がのこると、それこそ演奏に悪い影響があるかもしれません。

勇気をもって、印をはずそう!

長年印を見て弾いてきた人ほど印をはずす勇気がもてなかったりします。
印をはずしたとたん、音程は不安定になります。
でもそれは、印に頼りすぎてきた代償といえるでしょう。

でもそれも、しばらくで慣れます!w
印ありで、けっこう正しい音程が取れていた人は、必ず印なしでもできるようになります。

印をはずして、もっと自由に音楽を!!!

竿に印 その1 メリットを考える


事件です!こちらの写真をごらんください…

ヒエ━━(゚Д゚;)━━!
さささ、竿にキズがあああ!!

左手の指の押さえる場所が分かるように、竿にペンでグリグリグリグリグリと印をつけているうち、
深い傷を掘ってしまったようです…
なにもここまでしなくても^^;いい黒檀なのに~


“竿に印”はいいの?

二胡はフレットレスな楽器で、音程を自由に使えることが深い表現力の基にもなっています。
ただ、自分ののぞむ音程を取ること自体がものすごく難しいことでもあります。

とくに最初のころは音程を押さえる場所がよく分からなくて、
竿にシールなどで印をつけているのをよく見かけます。

三味線や三線、バイオリンでもシールの張ってある楽器を見ますね。

確かに、「( ‘o’)ここだよ!」と印が教えてくれるのはわかりやすいので、経験の浅い人でもそれなりの音程をとることができます。

でも、僕は二胡の竿に印をつけることはお勧めしません。
お勧めしない理由は次の記事で書きますが、デメリットがたくさんあるのに、印をつけるメリットとしては「それなりの音程を取れる」これひとつしかないからです。

竿にシールを貼ってる人!すぐにはがしたほうがいいですよ(*゚д゚)!
上の写真のように、シールの糊がこびりついて痕が残ってしまうことも考えられます。

ぜったい“印”つけたい!人へ。お勧めの方法

僕は竿については完全「無印派」なんで試したこともないですが、

弦に直接マニキュアで印をつける

という手があるようです。
これなら、手触りで場所を確かめられるし、押さえるポイントもより正確に近くなるとは思います。
こうしてつけたマニキュアはけっこうすぐとれていくようで、場所の感触を覚えていくにはいい方法かもしれません。

まあでも、つけないほうが、いいですよ~~

弓に印はOK!

音程をとるための印はダメ!ゼッタイ!ですが、
リズム感覚を養うために弓に印をつけるのはお勧めです。

以前、このブログでも紹介しました。ご参照ください。
→弓に印を

竿に印はダメ━(゚∀゚)━!!
理由は次の記事で!

スラー&タイの二重括弧について


楽譜をみると、複数の音符(数字)を囲む括弧が二重にかかっている場合があります。
そんな楽譜の読み方!


例えば


こんな楽譜があったとき。

二重括弧のうち、
上の括弧:違う音程を滑らかにつなぐ目的の“スラー”
下の括弧:同じ音程の音の長さをつなぐ目的の“タイ”

となります。

括弧がつないでいる音が
違うならスラー → その括弧の中の音を滑らかに弾きたい! → その音を一弓で弾く
同じならタイ → 音の長さを足す

この基本に則って、どういうフレーズになっているのか読み取ってみましょう。

例えば例えば?


↑こんな楽譜があったとさ。こんな風に演奏します。↓

スラー と タイ


五線譜と同じように、数字譜で音符の上に括弧がかかっています。
ご存知、 「スラー」 と 「タイ」 です。


どっちがスラー??


違う音程(数字)をつないでいる括弧 → スラー
同じ音程をつないでいる括弧 → タイ

ですね。
ニ胡やバイオリンなどの弓奏楽器では、この指示を次のように演奏します。

・スラーで囲まれた複数の音は一弓で弾く

・タイで囲まれた音は音の長さを足した分弾く

例えば?


こんな楽譜があったとした場合、上から順にこんな感じの運弓となります。↓↓

本来の意味

スラーがつくことによって、弓を扱う右手と音程を決める左手の動作のタイミングが入れ違いになってきます。
最初はそれだけで大事件(;゚∀゚)=3アヒャー!!

楽譜どおりにスラーを弾きこなすことが大変なのでついつい忘れてしまいますが、
そもそも、音符をつなぐ括弧のもともとの意味は、
括弧で囲まれた音を滑らかに弾く」というものです。

滑らかに弾くための手段として、複数の音を一弓で弾こうってこと。

せっかく一弓でたくさんの音を出していても、滑らかさが無ければ意味がないし、
逆に、音ごとに弓を返してしまっても、滑らかであればOKともいえます。

演奏行為の目的と、その先にある完成した音楽のイメージをしっかり持って演奏することは本当に大切です。
テクニックは、すべてその実現のための選択肢の一つにすぎません。

左利き用ニ胡の作り方


ギターやベースには、左利きの人向けに作られたレフティモデルというのがあります。

左利きの人が二胡を弾く場合は、どうしたらいいのでしょうか???


左利きさんへのニ胡のススメ

ニ胡は普通、右手で弓、左手で弦を押さえる持ち方をします。
左利きでも、気にしないでこのまま弾けるならいいのですが、

どうしても左手で弓、右手で押弦したい!

という場合は普通のニ胡にちょっと工夫をして使うことになります。
ちなみに、左利き用の二胡、というのは販売されていません。

ニ胡をよく見てみると?


正面から見ると、ニ胡本体は左右対称に作られているのがわかります。
一部の部品の配置を換えることで、左手で弓を扱えるようになります。

デンペンを左側に

胴の上、擦れていく弓の当たる部分に、“デンペン”という樹脂の板が貼り付けてあります。
これを反対側に貼り付け直します。

    ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

弦の巻く方向

ニ胡の2本の弦は内弦と外弦で巻く方向が逆になっています。
これも、左利きにする際には逆にします。

注意!)一部の金属式巻き軸構造のニ胡では出来ない場合があります。

弓も逆さに

普通の木軸ニ胡ならば、デンペンと弦のまきを逆にした後、弓も普通とは逆に取り付ければレフティ二胡のできあがり!
そんなに難しい作業ではないので、左利きの方もお気軽にチャレンジ!!

弦を買ったら中身は確認しよう!


二胡用の弦は、内弦外弦両方のセットで販売されていることがほとんど。
二胡の場合、内弦と外弦はどっちも細くて、どちらかだけを見て「これは内弦だ!」などと当てるのは至難の業です。

なので、大概は弦の先の方(糸巻きに巻きつける部分)の滑り止めの糸のようなものの色が違うものになっていて、2本が別であることを識別できるようになっています。

上の写真はわかりにくいですが、内弦(上)は緑、外弦(下)は黒になってます。

まれなケース

…で、写真は先日生徒さんから「どうしても調弦があわない」と持ち込まれた二胡。

確かに合わない。よーくみると…内弦外弦両方とも同じ青色のすべり止めが巻いてあります。
比べてみても、2本とも細さは同じ。

内弦と外弦のセットのはずが、誤って外弦2本が入っていたんですね。
そりゃチューニングあうはずはありません。

買ったら一応中身を確認しよう

僕の二胡人生の中で、二胡弦セットの中身が間違っていたことは何度かあります。

「何度か」もあるんですw。

買ったら一応中身を出してみて、太さの違う2本の弦が入っているか確認しておきましょう!


三脚の秘密


譜面台の組み立て方で、もう一つ間違いが多いのが
三脚部分の立て方です。

譜面台、マイクスタンド、カメラスタンドなどのほとんどは3つの点で支える三脚ですが、どうして3点支持なのか、ご存知ですか?


点と線と面

点。ひとつでは点にすぎません。

点が2つになると、それを結ぶことで線が産まれます。

更に点が3つになると、になります。

次に点が4つとなったら。
4つのうちの3つの点による面が2つ産まれる可能性があります。

もちろん、4点が同一平面上に存在すればいいですが、現実問題なかなか難しいものです。

足が多いとさらに安定した面になるのかと思いきや、テープルとか、すぐガタガタになりますよね。
それは、4本の足が同じ面の上に存在できていないからです。

以上の原則から、譜面台やマイクスタンドなどの用途を考えた上で、一時的にその場に設置される台としては、3点で支えることで安定状態を作ることができるわけです。

よく見るスタンドの立て間違い

ガバっと開くだけのカメラ三脚では出来ないですが、譜面台やマイクスタンドなどで、こういう風に立てているのを見ます。↓

ゴム足のついた3脚部分に加え、中心の棒を地面に当てて立てていますね。

これは間違った立て方。上記のように4点支持となり、面が複数産まれて逆に安定しないことがあります。

◎正解↓

真ん中の棒は地面に当てず、3脚だけで地面に立つように。
これで多少地面が平面でなくても、3つの点により産まれる面はひとつだけなので安定して立てることができます。

↓この状態もよく見ますが…

真ん中の棒、しっかり上まで上げて止めておきたいです。
地面に当たっているのが3点であればまあ問題はないですが、単純にダサいっす!(・A・)イクナイ

原理を知ろう!

単純な道具ほど、昔からの知恵が生かされていたりするものです。
使う側が道具の仕組みを理解することで、便利に長く使うことができます。

二胡の練習についてもそうで、ひとつひとつの動作や練習法にも、きちんと目的と、それを実現するためのアイデアがこめられているはず。
なんとなしに練習しないで、目的をしっかり理解して練習することが、無駄の少ない大人な練習法になりますよ(´・∀・`)

譜面台の広げ方


昨日は二胡教室のウレシハズカシ発表会でした。
ドキドキするけどドーンといって、楽しく演奏できました!

準備の段階、控え室にて。みなさん安くて軽い譜面台を持ってこられるのですが、案外手間取るのが

譜面台をスムーズに広げることw

ちょっとコツがいるんですよね、これ…


パンタグラフ型?譜面台のスムーズな広げ方


譜面台の種類にはいくつか種類がありますが、コツがいるのは↑このタイプの譜面台。
電車のパンタグラフみたい?なにか呼び方があるんでしょうか。

安さと軽さを両立しているので便利ですが、広げ方を間違えると広がらないし、
細いフレームが曲がってしまっているのもよく見かけます。
説明書にはちゃんと書いてありますが、海外製のため英語でしか書いてなかったり、
パッケージと一緒に捨てちゃったりしちゃうもんですよね。

長いが上、短いが下


折りたたんだ状態ですね。ここからスタートです。

左右それぞれに2本のフレームが収まっていると思います。

長いのと、短いのと。これを、


長いフレームを真上、
短いフレームを真下

に向けます。
左右両方とも。

ここで、ちゃんと真上、真下にそろえるのがポイント。中途半端な向きだと開きません。

きちんと向きを合わせたことを確認したら、譜面を置く部分を持って開きます。

手順に問題がなく、譜面台自体がゆがんでいたりしなければ楽に開くことができるはずです。

何度がよく観察しながら動かしてみて構造を理解することが必要です。
うまく開けましたか??

勝負は閉じるときから始まっている

次は閉じ方。
このタイプの譜面台は閉じるときにも注意点があります。


↑斜めに入っているフレームを、下側にたたんでいくのが正解。
こうして折りたたむと、長いが上、短いが下になりますよね。

☆間違い例

こんなふうに、斜めに入っているフレームを上側にたたんでしまうと、
長短2本のフレーム両方とも上に行ってしまいます。
こうなると、このあとさらに折りたたむときにもスムーズに行かないはず。

いろいろありまっせ

道具は正しい使い方を覚えて気分よく使いたいものです。
こばやし二胡教室ではイベントの度「譜面台が広がらない~~」と各所で声があがりますが、
普段譜面台を使ってないんだなあと、先生は一人淋しいきもちになったりするんであります…(´´ⅴ``)ショボーン


↑パッケージにもデカデカと広げ方が図解されてますね。
苦情多いのかな…


このタイプは一方向にしか動かせないので、開閉については簡単です。
上のタイプに比べると、ちょっと重くなるのかな?

譜面台購入の際はご参考まで!

時々、松脂を中までしっかり塗ってみましょう


弓奏楽器の多くで、弓の毛には松脂を塗って演奏します。
時には、しっかり松脂を塗ることをお勧めします!


月に1度くらいは…

松脂が減ってくると、音が出にくくなります。
つまり、松脂がついているところだけが音を出すことに影響していることになります。

弓の毛束は、何百本という毛を束ねてあるわけですが、
表面にだけ松脂を塗っていると、中の方には松脂のあまりついてない毛というのもでてきます。

月に一度くらいは、楽器から弓を取り外して、毛束の中の方までしっかり松脂を塗ってみてはどうでしょうか?

二胡から取り外して、かなり緩めた状態で、少し塗っては弓を振って、外の毛と中の毛を入れ替えながらまんべんなく塗っていきます。

こんな感じで↓

塗りすぎ注意!

塗りすぎは雑音の原因になります。
でも時々「毛の中までしっかり松脂塗る」をやると、新品のように弾きやすさが復活することもあるかも?

純正律の和音の響きを聴いてみよう!


昨日の記事 を書いてる途中、いい動画を見つけました。
平均律と純正律って、実際どんなふうに違うの?というのを聴くことができます。


純正律の和音を知ろう

こちらです。↓

教育目的で製作された自作ソフトのデモ動画のようです。
最初のよくわからんところはスルーして…^^;

0:30~平均律でのCコードの響き。
0:43~純正律でのCコードの響き。
0:59~再び平均律でのCコードの響き。

1:06~純正律でのC7コードの響き。
1:14~平均律でのC7コードの響き。

この順で再生されています。

違いが分かるかな??

平均律の和音の響きに比べ、純正律の和音はスッキリとニゴリが少ないことがわかりますか?
C7コードの方が差がわかりやすいかも。

…よくわからない…
という人は、落ち着いて、ちゃんとしたスピーカーやそれなりのヘッドホンなど、できるだけ“いい音”で聴ける状況を用意し、落ち着いて集中して二つの響を聞き比べます。
次第に感じられるようになってきますよ。

純正律に比べると、平均率の響にはニゴリというかスッキリしない感があります。
こういった響きを感じる感覚は、二胡の演奏でもシビアに音程をあわせていくために必要なことです。
これには、いわゆる「絶対音感」みたいなものは必要ありません。ちょっと訓練すればだれでも身につきます。

音をよく聴く習慣をつけたいものです。

ところでこのソフト、現在は配布していないそうです。
面白そうなのに~~